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伝わらなければ、無意味 [占畑書店]

先日、近所の書店に注文していた西部邁氏の本、『昔、言葉は思想であった(時事通信社・1890円)』が到着したという連絡を貰い、書店に買いにいった。
自宅で一読したが、今までの西部氏の文章よりは読みやすく、参考になる文章も見受けられた。しかしながら、やっぱり、何を書いているのか、さっぱり分からない部分も多く見られた。何度も読めば、印象が変わってくるのだろうが。約2000円をドブに捨てたようなものだ。アーメン。でも、また懲りずに買うんだろうな(苦笑)。

さて、その本の他に、小林よしのり氏の本も同時に買ってきた。今回の著作は、漫画ではなく、小林氏と政治家との対談集、『希望の国日本(飛鳥新社・1680円)』という本である。こちらもざっとしか読んでいないが、こちらの方が当たりだった。

特に面白かったのが、石破茂自由民主党政調会長との対談である。
一部を引用する。

「それはもう、政策の問題じゃないですよ。有権者が、自民党的な体質に飽きた。テレビでずっと同じ番組を見すぎたようなものです。たとえば『水戸黄門』も、黄門様役は東野英治郎から里見浩太郎まで何代も交代してきましたが、番組そのものはずっと続いているわけですよ。自民党もそれと同じようなもの。五〇年も見続ければ、それは飽きますわ。それでも今までは『裏番組』が日本社会党や日本共産党でしたから、いくら何でもこれはダメだということで、仕方なく自民党にチャンネルを合わせていた。ところが民主党は、最初の頃は危なっかしかったけれども、小沢氏や鳩山氏が主役を張るようになると、見るほうは、『こいつらはもともと自民党じゃないか』と思う。岡田氏や前原氏や原口氏あたりの脇役たちも、もともとは保守なんですよね。『だったら、ちょっとチャンネル変えてもいいんじゃないの?』と思えるわけです。もちろん自民党チャンネルが面白ければいいんだけど。最近は面白くないどころか主役がしょっちゅう代わりすぎる。私、国会議員になって二三年以上になりますが、その間に登場した総理大臣は一六人。こんなにトップが交代する国は、おそらく世界中で日本だけでしょう(91~92P)」。

対談集なので、話し言葉なのは差し引くとしても、非常に面白い指摘ではないか。

民主党や、前シュショウの所業を見ても、菅内閣発足後60%近い支持率になった。

これは、「自民党チャンネル」が飽きられたのだ。
当分、視聴者は、「民主党チャンネル」にかじりついているだろう。保守勢力は、もう少し苦しい時代が続くのではないか。今できることは、「自民党チャンネル」や他の「保守派チャンネル」の番組の質を高めておくことだ。もしかしたら、視聴者が、「民主党チャンネル」に飽きて、「自民党チャンネル」にチャンネルを変えた時、もう日本はかなりダメージを受けているかもしれないが。

小林よしのり氏は、政治分野の専門家ではないが、小林氏なりに多くの参考文献を読み、非常に噛み砕いて読者に提示してくれる。そこに、小林流の解釈は当然入ってはくる。小林氏の主観等は当然考慮に入れつつ、参考になる部分を取捨選択していけばいいのだ。

勿論、その分野の専門家が書いた本の方が手堅い。西部氏の著作は、政治分野の専門家であり、おそらく学問的な裏付けがあるとは思うが、難解な言い回し等で、結局、読者に言いたいことが伝わっていないのではないか。それに比べて、小林氏の著作の方が、頭に入ってくる。やっぱり、書物は、読者に伝わってナンボである。
タグ:読書
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