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ならず者国家(4) [占畑書店]

ここでは、代用食品について。
中国も、北朝鮮もやることは一緒らしい。

引用始め----------
64P
金正日がとった救済策は国の惨状を長引かせ、いっそう多くの国民を死に追いやった。その一例が「代替食品」または「代用食品」と呼ばれる食品の奨励である。これは中国で「大躍進政策」が招いた飢饉のときに開発された気味の悪い食べ物で、政府は国民にこぞって木の根や皮、海草、穀類の殻、トウモロコシの穂軸を集めさせ、それを材料に麺類や「ケーキ」のような栄養価ゼロの食品を製造した。これを食べれば、大人も子供も栄養失調で弱っている身体に健康を取り戻せると政府の御用科学者は保証したが、実際には彼らの弱った胃腸ではこのような高密度の物質を消化しきれず、腸を詰まらせて死亡する人が相次いだ。
イギリスの情報機関では、北朝鮮のテレビでこの政策の宣伝が放映されている模様を傍受していた。
「朝鮮民主主義人民共和国を孤立させ、破滅させようとする帝国主義者の策謀によって、また長年にわたる自然災害によってわが国の食糧事情は厳しいものになっているが、大同江鉄製日用品工場では、アカシアの葉その他多様な植物を原料として代用食品を生産し、工場労働者の食糧事情改善に貢献している」。
不平を述べるだけで何もしないのではなく、我々は不屈の精神で代用食品の製造と供給に取り組んでいる」。
白衣を着た女性アナウンサーは、材料となる植物をゆで、乾燥させて粉にし、臼でこねてペースト状にしていく様子を明るい声で伝えた。その混ぜ物にトウモロコシか小麦、さらに二グラムの「酵母乳酸菌」なるものを加えて、一二時間醗酵させると、より消化の良いものができるのだという。
「このように、ただ根気よく作業すれば、どこでも簡単な手順で食料を作り出すことができる」。アナウンサーは自信に満ちた様子でこう言い、次のような警告を付け加えた。
「食糧事情はさらに悪化する恐れがある。しかも、将来的には底をつくこともあるかもしれない。だがそれはたいしたことではない。我々労働者階級は、たとえそのような事態が起こっても微動だにしない、不滅の存在だから。(中略)今後我々は、敬愛する将軍様への忠孝をもって一致団結し、みずからの手でわが身を養い、最終勝利のための苦難の強行軍において名誉ある勝利者になるのだ」。
(中略)

党は飢えに苦しむ国民(子供も含め)に対し、こうした代用食品の材料を集めてまわるよう奨励していた。党にとって個人主義は悪、集団主義は善である。国民を管理するため、職場でも学校でも、集団食堂で食事をとらせるよう定めていた。
周期的に飢饉に見舞われるこの国では、国民の多くは野草や木の皮・葉のうちどれが食べられるかを経験から知っていた。だが政府が流した誤った情報は国民を混乱させ、致命的な結果をもたらした。
引用終わり----------

このアナウンサーのコメントは、凄いね。
いくら不屈の精神があっても、消化できないものは、消化できないだろ。
草食動物じゃないんだから(爆笑)。
タグ:北朝鮮
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