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ならず者国家(3) [占畑書店]

ここでは、北朝鮮の飢餓が、国内全体に及んでいく状況について。
中盤の金正日氏の有難い御言葉に注目。

引用始め----------
一九八〇年代、金正日は兵役を七年から一三年に延長し、また軍の規模を拡大するため女性の徴兵を開始した。その結果、北朝鮮は世界第五位の常備軍を持つようになった。だが、軍に支給する食糧も充分ではなかったため、一九九〇年代はじめには兵士にも多くの餓死者が出た。かつては収穫期になると、軍は国内で生産された農作物(普通は米)の分配を受け、農村部の住民もその年の収穫から分配を受けとっていた。だが、金正日は軍の食糧を確保するため、収穫期に兵士を直接農村部に派遣して収穫物を強制的に取りあげさせるようになった。その結果、一九九七年秋の地方住人の穀物配給は一人当たりわずか約一〇〇キロとなってしまった。普通の大人は少なくとも一日およそ〇・五キロを必要とするため、これで一年暮らすのはとうてい無理である。こうして北朝鮮の飢餓は、都市部にも農村部にもあまねく広がりはじめたのである。
飢饉にあえぐ国民は、援助団体の専門用語で言う「対処メカニズム」の作用によってみずから食糧を確保しようとするものだが、そうした生き残るための動きに対し、金正日はあらゆる手段を講じてそれを妨害した。「国民に『食糧問題を自力で解決せよ』と言えば、農民による闇市や行商人を増やすだけだ。さらには国民のあいだに自己中心主義が生まれ、党の階級の土台が崩壊する。ポーランドやチェコスロバキアの例を見れば明らかだ」。金正日は一九九六年一二月、党幹部を前にしたスピーチでそう述べた。
金正日は、農地私有という後退は絶対にあってはならないとし、自然発生的に生まれる闇市を厳しく取り締まった。また、人々が食糧の余剰分を不足している地域へと運搬することは厳禁で、考えつくかぎりの防止策がとられた。党の役人はあらゆる商業活動を撲滅するように命じられた。だが実際には多くの役人がその命令を無視した。
(中略)

このような行動はすべて違法であり、それに関わった者は定期的な取り締まりによって逮捕または処刑されることは、地方の党当局者はもちろん、誰もが承知していた。
(中略)

北朝鮮の役人はみな必死になって闇市の存在を、とくに外国人の目から隠そうとする。平壌で闇市の写真を撮ろうとした外交官などは、警官からひどい暴行を受けた。闇市では当局が組織的な手入れを行ない、商人から商品や売上げを没収していく。
タグ:北朝鮮
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