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戦没者遺骨収集のいま(8) [「シリーズ」日本人よ、何処へ行く]

産経新聞の遺骨収集の連載記事は、8回で終了。
又、良い連載記事があったら、紹介したい。

ちなみに、この連載記事を増補したものが出版されている。
喜多由浩『野口健が聞いた英霊の声なき声』(産経新聞出版)。
小生は、今日購入してきた。

【あなたを忘れない 戦没者遺骨収集のいま】(8)ジャーナリスト・笹幸恵さん(34)
産経新聞 2009.2.13 08:32
 ■世論から政治へのムーブメントを
 ガダルカナル、フィリピン、サイパン、硫黄島…。この4年間に訪れたのは15カ所。ときにはひとりで、ときには戦友会や遺族と一緒に、熱帯のジャングルに、サンゴ礁の島に入り、遺骨収集や慰霊巡拝の現場を見つめてきた。
 虫や毒ヘビもいれば、治安の悪い場所もある。もちろん、トイレなどはない。女性には過酷な場所だ。「そんなこと、おじいちゃんの世代の日本兵たちが味わった苦しみに比べたら、全然、大したことではありませんよ」。
 こうした問題をテーマに取材を続けている若い女性ジャーナリストは珍しい。祖父は、シベリア抑留の経験者だったが、幼いころに話を聞く機会はなかった。戦争について、特別に強烈な体験をしたわけでもない。
 「だから、『なぜそんな取材を?』と聞かれても困るんです。普通の女の子がファッションや化粧品に関心があるのと同じように、この問題に関心があったとしか言いようがない」と苦笑する。
 それでも、取材を続けているうちに、遺骨収集の問題点が明確に浮かび上がってきた。関係者は高齢化する、現地での情報はますます少なくなる、現地人脈のネットワークもない…。
 「はっきりしているのは、今のやり方ではダメだということ。一部の人の思いや情熱ではなく、『遺骨収集をやるんだ』という国家としての意志やスタンスを明確に示し、新しい枠組みを作っていくことが必要なのです。もう、小手先では対応できません」。
 その際に、イニシアチブを取るのは、官僚ではなく、政治の力だ。政治決断があれば、官僚は動かざるをえない。そして、政治を動かすカギを握っているのは「世論の動向」だとみている。
 「世論が動けば、政治は必ず動く。ムーブメントを起こさなければならない。だから、新聞、テレビの役割は大きいのです」。
 大学や高校で、若い学生・生徒に遺骨収集について話す機会も多い。みんな、思いのほか真剣に耳を傾けてくれる。「今度、遺骨収集の現場に行くときは、私も連れていってほしい」という女子学生もいた。
 「若い人が関心がないなんてウソ。ただ、知らないだけなんです。話をすれば、高校生も真摯(しんし)に受け止めてくれました。だから、学校で遺骨収集のことを教えればいい。修学旅行で硫黄島へ連れて行けばいいんですよ」。
 同世代の友人・知人もそうだ。男性よりも、むしろ女性が共感してくれる。「日本って、こんなことさえやっていなかったの。それはイカンよね。何とかしなくちゃね」って。
 戦後60年あまり。何もしなければ風化は避けられない。遺骨収集事業も終わってしまう。
 「20代、30代、40代が引き継いでいかねばならない。今こそ声を上げるべきなんですよ」。=おわり(喜多由浩)
タグ:遺骨収集
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