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戦没者遺骨収集のいま(5) [「シリーズ」日本人よ、何処へ行く]

小生は、基本的にアメリカが好きなのだが、こういう点を見ても、「やはりアメリカって、凄いなあ」と素直に思う。
こういう点は、世界の最先端は、やはりアメリカだろうな。

【あなたを忘れない 戦没者遺骨収集のいま】(5)専門家集団派遣、科学的に判定
産経新聞 2009.2.10 08:09
 ■「すべての兵士を故郷に帰す」米国
 アメリカには、軍の作戦行動中に戦死したり、行方不明になった兵士の捜索や遺体回収、身元確認、遺族への返還を専門的に行う4軍の統合組織(JPAC)がある。その実動部隊がCILだ。
 第二次世界大戦から、ベトナム戦争、イラク戦争まで、「すべての兵士を故郷へ帰す」を合言葉に、世界中にチームを派遣し、遺体(遺骨)を見つければ、CILの専門家が科学的に身元鑑定を行い、遺族へ引き渡す。
 その徹底ぶりは関係者の間でつとに有名だ。たった一人の兵士の遺骨を捜すために、硫黄島に大人数のチームを送りこんだり、ドーバー海峡が干潮になったときに海底の泥を全部吸い上げて、欧州戦線で亡くなった兵士の遺骨を捜索したこともある。
 そのCILで、研修を受けた40代の日本人がいた。
 彼は、太平洋・ウェーク島でCILが見つけた旧日本軍兵士とみられる遺骨の鑑定に加わり、「レベルの違いを思い知らされた」と打ち明ける。
 遺骨は、3体分が個別に埋葬されており、日本海軍の下士官用のバックルが一緒に見つかった。身元判定の材料となる歯の治療痕もあった。米軍には、第二次大戦以降のすべての行方不明兵士の歯科記録が残されており、DNA鑑定も行って、身元を特定する。CILのスタッフから、「当然、キミたち(日本)もそこまでやるんだろう」と言われたが、日本にはそんな力量も予算もない。結局、身元不明者として、千鳥ケ淵戦没者墓苑へ葬られるしかなかった。
 「CILは予算も人も投入して、『当たり前のこと』としてやっている。アメリカで戦死者はヒーローだが、日本ではいまだに『日陰の身』の扱い。この認識の違いはあまりにも大きい」。
 日本にも、CILのような専門家のチームがつくれないのだろうか? 残念ながら、現時点での答えはNOだ。
 日本の場合、遺骨収集事業は厚生労働省外事室が担当している。多数の実動部隊や装備を持ち、専門家も擁している防衛省・自衛隊は国内の硫黄島での一部の業務を除き、基本的に遺骨収集事業にはタッチしていない。拉致問題のように、「内閣府に省庁の枠組みを超えた組織をつくるべきだ」という声もあるが、実現の見通しは極めて低い。
 だが今後、海外派遣が常態化している自衛隊で多数の犠牲者が出た場合などには、どう対処するのだろう。アメリカのCILをみれば分かるように、国家のために命をかけた人の慰霊をおろそかにしている国など、世界を見渡してもどこにもない。国民や現役の士気にかかわるからだ。
 「戦没者の遺骨を野ざらしにしてはならない」。CILで研修をした彼はそう言ったが、日本との差は大きい。(喜多由浩)
タグ:遺骨収集
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