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紅いカンボウチョウカン(6) [「シリーズ」日本人よ、何処へ行く]

【仙谷由人研究】(5)
極秘訪中「頼まれてやった」
産経新聞 2010.12.8 00:33 更新
■原点と変節
 昨年9月、官房長官の仙谷由人の地元、徳島市のホテルで開かれた政権交代の祝勝会。徳島県立城南高校3年生の同級生で、仙谷のすぐ前の席に座っていた医師、桜井えつは胸が熱くなるのを覚えた。
 「命をかけて国を支えていく。本当に、命をかけて政治活動をしていきます」。
 仙谷がこう誓うと、会場からは「よし、命懸けで頑張れ」と熱気あふれる声援が飛んだ。仙谷と民主党への期待が沸騰していた。
 それから1年3カ月しかたっていないのに、今や期待は失望と諦観に変わり、菅内閣の支持率は坂道を転げ落ちる。仙谷自身も傲岸不遜な発言や失策を連発したとして、不名誉な問責決議を突きつけられた。
 どこで道を誤ったのか。
 「僕は、何よりも“自由と民主主義”を愛するという自負を持っている」。
 「人間の完全な自由・人権を闘いとるという性根があり、絶えず反権力の図式で生きてきた」。
 仙谷は著書で、こう自身の「原点」を記した。ところが、権力の中枢である官房長官の座に就くと百八十度変節してしまった。
 中国漁船衝突事件では、詭弁を弄して衝突場面を撮影した映像を国民の目から隠し続け、国民の知る権利をないがしろにした。
 防衛省による民間人の政権批判封じ通達をめぐっては「民間人であろうとも自衛隊施設の中では、表現の自由は制限される」と主張し、言論・表現の自由を軽視する論陣を張った。
 仙谷自身の過去の言動を裏切る政権の保身体質、隠蔽手法こそが国民の怒りを招いている。

■中国への対抗策?
 仙谷は11月14日に横浜市で開催された首相の菅直人と韓国大統領の李明博との首脳会談に異例の同席をするなど、韓国重視の姿勢を鮮明にしている。
 「中国に立ち向かうには韓国を戦略的パートナーにしなければならないと仙谷さんは考えている。日韓併合100年の首相談話もそうで、布石を打っている」。
 内閣官房参与の前田匡史は解説する。自民党総裁の谷垣禎一も8月に、仙谷からこんな電話を受けた。
 「これは中国への対抗策だ。成長する中国に対抗するには米国、韓国と連携しなければいけない。オレもいつまでも左翼じゃない」。
 首相談話発表や朝鮮半島由来の「朝鮮王室儀軌(ぎき)」などの韓国への引き渡しに協力を求める内容だった。
 仙谷と谷垣は東大の同期で、同じく弁護士だ。当初は仙谷の要請に理解を示した谷垣だったが、やがて仙谷や菅の不誠実な言動に態度を硬化させていく。
 結局、仙谷への問責決議もあり、年内に儀軌を引き渡すという菅の対韓「公約」は果たせなかった。今月中旬で調整されていた李の来日も見送られた。
 一方、立ち向かうはずの中国にも、漁船衝突事件では腰をこごめ続けた。
 民主党衆院議員、細野豪志は今年9月に訪中し、中国の国務委員、戴秉国と事件の打開策を協議したが、この「密使」は、仙谷の依頼で実現した疑いが濃くなった。
 「仙谷氏とは学生運動時代からの知り合いで(訪中仲介を)頼まれたからやるべきことをやった」。
 学生運動時代からの仙谷の友人で、中国要人にパイプを持つ民間コンサルタントの篠原令は6日夜、TBSの報道番組で証言した。
 「関知していない」。
 7日の記者会見で仙谷は全面否定したが、篠原は産経新聞の取材に「戴氏は私の古くからの友人。仙谷氏の立場では、『関知しない』と言わざるを得ないのだろう」と語った。
 10月18日の参院決算委員会で、自民党参院議員の丸山和也は仙谷の発言を暴露した。「(日本の中国への)属国化は、今に始まったことじゃないよ」。
 仙谷の外交戦略は空回りしている。

 ■問責の行方
 来年1月召集の通常国会では、野党側は問責決議を受けた仙谷や国土交通相の馬淵澄夫が辞任しない場合は、冒頭からの審議拒否も辞さない構えだ。
 「期待以上の活躍、仕事をしていただいている」。
 菅は6日の記者会見で仙谷を持ち上げ、改めて続投を強調した。だが仙谷が積み重ねた「自殺点」が足を引っ張り、通常国会の強行突破も成算は見えない。
 仙谷は7日の会見で、先の臨時国会が菅内閣が提唱する「熟議の国会」とならなかったことについて、人ごとのように語った。
 「やっぱり、民主主義も時間がかかるということじゃないか」。(敬称略)=おわり
     ◇
 この連載は阿比留瑠比、佐々木美恵、坂井広志、村上智博、尾崎良樹、内藤慎二が担当しました。
タグ:政治
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