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安全保障関連法案、可決(1) [政治や歴史の話]

安全保障関連法案が、可決された。
人間というものは、やはり複眼的な視点を持つべきだと言われるが、事実上不可能なのだと思う。
小生を含め、安全保障関連法案賛成論者は、憲法と安保法案の整合性よりも、日本を取り巻く環境の変化の方に重きを置き、ある意味、憲法軽視の姿勢を打ち出している。
逆に、安全保障法案反対論者は、憲法を重視し、国際情勢の変化には触れようともしない。

小生は極論すれば、憲法軽視論者である。というのも、結局、日本国憲法は、日本国内にしか通じない内向きの論理でしかない。日本を取り巻く環境の変化に対応するようには出来ていない。だから、普通の国ならば、国際情勢の変化に合わせて、憲法を適宜修正するなり、追加条項を認めるべきなのである。
例えば、「日本は憲法第九条があるから、軍事力は保持しませ〜ん」と叫んでいても、諸外国には紙のつぶて以上の効果は乏しいだろう。蒙古襲来よろしく、諸外国が日本を侵略してきた際、神風が吹くことを祈るのだろうか。

ここからは、憲法学者への批判なのだが、小生には、安保法案反対の憲法学者の言説がどうも馴染めなかった。というのは、日本国憲法は日本人が遵守すべき最高法典なのは小生も理解はしていたが、国際情勢が70年前と大きく変化している状況の中で、憲法解釈のみで、今後もやっていけるのかと言う疑問に明確に答えてくれる意見がなかったからである。
「安保法案は今までの憲法解釈外だから違憲だ」と言われたが、憲法第九条に明確に違反している自衛隊を事実上認めている段階で、憲法第九条は、半分以上骨抜きになっているのではないか。
憲法学者は、第九条以外の条文から自衛隊を合憲と渋々認めてはいるが、それも、国家の自衛権すら認めないような憲法は欠陥品と国民に思われかねないので、無理くり捻り出した憲法解釈の一例ではなかったのか。一瞥して、国家の自衛権があることが分からない憲法がそれ程優秀な憲法とは思えないのだが。
そもそも小生は、憲法学者の中に、憲法第九条を盾に自衛隊の創設を妨害していた人々がいたことを知っている。今回の反対劇も、結局、あの時の、「憲法第九条に違反するから自衛隊はいらない」と叫んでいた憲法学者と大して変わらないと感じるのは小生だけだろうか。

憲法学者は、「国際情勢の変化は私は門外漢」として、言及を「巧妙に」避けている。憲法学者が、真の学ぶ者であったら、改憲せずに憲法解釈で今後も押し通せるとは思えない筈だが。

今回安倍総理は、成立させたが、素晴らしい判断だったと思う。小生は、日本国民を基本的には信用しているが、安全保障論議にはまだまだ向かないピュアな民族だと思っている。某国の東シナ海での野蛮な行為、某国の日本人拉致問題を考えれば、中々現在の日本国憲法やその解釈では厳しいと気付かなければならないと思うのだが、全国の反対運動を見ると、やはり日本の周囲の状況には目がいかないのかなと感じてしまう。
本来ならば、国際情勢を鑑み、日本国憲法改憲に踏み切るのが筋だろう。しかしながら、国際情勢の変化に対して、憲法解釈の変更を試みた政府に、これだけ罵声を浴びせる憲法学者、マスコミ、日本国民がいるようでは、残念ながら憲法論議など出来そうにない。
安倍総理には悪者になって貰うしかない。不完全ながらも、憲法より上位の安全保障法制を整備して、嫌でも、日本を世界の現実に触れさせる方が良策だと小生は考えている。勿論、安倍総理はアメリカの意向を汲んで、安保法案を勧めたのも、事実だろう。アメリカと共に軍事行動をとれば、自衛隊員に戦死者が出る可能性が非常に高まる。ただ、「自衛隊に戦死者を出させない」と声を荒らげている人間の多くは、結局は、憲法を護ることによって、自衛隊を曖昧な存在のままにしておき、日頃は敬意の念もないが、災害時や緊急時には都合良く使ってやろうと考えている。

又、「アメリカは、アメリカの国益の為に軍事力を行使する。だからアメリカは信用できない」という意見も耳にする。だが、こういう人に限って、日本と軍事同盟を結んでいない東アジアの軍国主義国家を無邪気に信用していたりする。
アメリカはいざという時に日本を守る保証はない。さすれば、アメリカが日本の危機の際、確実に動いてくれるような法整備をするなり、日本国憲法には残念ながら違反するかもしれないが、アメリカの軍事行動に協力して、アメリカに恩を売っておくことも必要だろう。
「いや、日本はアメリカには守って貰いたいが、憲法上、アメリカの軍事行動に同調は出来ない」という意見もあるが、この意見、アメリカ人が聞いたら、どう思うだろう。「全く、日本人は自分達の都合ばかり考えて」と思うのではないか。

「国民の理解進まず」=安倍首相
時事通信 7月15日(水)10時9分配信
 安倍晋三首相は15日午前の衆院平和安全法制特別委員会で、安全保障関連法案について「残念ながら、まだ国民の理解は進んでいる状況ではない」と認めた。
 その上で「これからさらに国民の理解が進むように努力したい」と述べた。民主党の大串博志氏への答弁。
 安保法案をめぐっては、石破茂地方創生担当相も14日の記者会見で「国民の理解が進んだと言い切る自信はない」と述べた。首相の答弁に対し、大串氏は「看過できない発言だ」と反発した。
 これに関し、菅義偉官房長官は15日の記者会見で、「自衛隊発足や国連平和維持活動(PKO)参加、日米安全保障条約改定など、極めて世論が厳しい中であっても、責任ある政府が法案を国会で通し、平和な国をつくり上げてきた。引き続き丁寧に説明をしていく」と強調した。

安保法案、16日衆院通過=安倍首相「今後も丁寧に説明」―5野党、採決退席へ
時事通信 7月15日(水)14時50分配信
 安全保障関連法案が衆院特別委員会で可決されたことを受け、衆院議院運営委員会の林幹雄委員長(自民)は15日の理事会で、16日に本会議を開いて安保法案を採決することを職権で決めた。
 自民、公明両党は9月27日までの今国会での成立を確実にするため、16日中の衆院通過を譲らない構え。法案に賛同する次世代の党を除く野党は強く反発、採決を退席する方針だ。
 委員会での法案可決後、安倍晋三首相は15日、首相官邸で記者団に対し、「国会での審議はさらに続く。国民に丁寧に分かりやすく説明していきたい」と述べた。菅義偉官房長官は記者会見で、「わが国を取り巻く安全保障環境が極めて厳しくなっている中、必要な法案なので、16日の本会議で可決し、参院でもしっかり審議を行う方向に進んでいる」と語った。
 安保法案は、集団的自衛権行使を容認し、自衛隊の海外での活動を大幅に拡大することが柱。成立すれば、戦後の安全保障政策の大転換となる。
 ただ、衆院憲法審査会に出席した自民党推薦を含む憲法学者全員が安保法案を「違憲」と明言。報道各社の世論調査でも反対や慎重な意見が多い。法案内容に対する国民の理解は進んでいないことから、野党各党は成立を急ぐ政府・与党を批判。15日の衆院特別委では、野党が猛抗議する中、与党が単独で法案を採決した。
 与党はこの後の議運委理事会で16日に本会議を開いて安保法案を採決することを提案。「議論が尽くされていない。特別委に差し戻すべきだ」などと反対する野党側と断続的に協議したが折り合わず、林委員長が職権で日程を決めた。
 これに対し、民主、維新、共産、生活、社民5党は15日、国会内で党首会談を開き、衆院本会議では抗議の意思を示すため、政府案の採決では退席することを確認。民主、維新、共産3党はそれぞれ本会議での討論には臨み、政府案への反対を表明する方針だ。
タグ:政治
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