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野口健はなぜ遺骨収集を始めたのか(3) [「シリーズ」日本人よ、何処へ行く]

こういう熱い人々を見ると、先程別の記事で書いた、「シーシェパード」と称する、自称環境保護団体とかは、カスの集団に思えてくる。

アルピニスト・野口健はなぜ遺骨収集を始めたのか 遺骨収集シンポ詳報(3)
産経新聞 2009/09/21 13:45
国のプライドのためにやるという意義付けがない(赤木)
―ここ数年、国の遺骨収集事業が停滞していた原因は何でしょう?
 赤木衛 厚生労働省が遺骨収集をやっている理由はなんでしょうか? なぜ防衛庁ではないのか? 旧帝国陸海軍が解体された後、復員省が出来た。それを管理しているのが援護行政を行っていた厚労省なのです。厚生省が遺骨収集をやっているのは、あくまで「遺族や戦友の便宜を図るため」にすぎない。本来は日本のためでしょう。ここが大きな問題です。遺骨収集の能力のないものがやるべきではない。志がそもそも間違っているのです。
 米国のJPAC(戦争時の行方不明者や遺骨を探す組織)は、日本の10倍くらいの予算をつけて今でも世界中の未帰還兵をさがしています。でも日本では「遺族の便宜を図る」ために遺骨収集が行われています。日本では「遺骨収集を国家のプライドのためにやるんだ」という意義付けがなされていません。「無責任ではないか」という怒りを感じています。

 笹幸恵 事業が進んでいない最大の理由の原因は、一般の人々の無関心です。私も数年前まで知らずにいたから人のことは言えませんが、メディアの責任も大きいでしょうね。(遺骨収集を担当する)厚労省の外事室のスタッフは20人くらい。それが行政機関のスタンスを表していると思います。もし何が何でも「国家の事業としてやらなければ」と思うなら、もっとできたはずでしょう。その間にどんどん国民の関心が薄れていく。
 さらに、小分けにして申し上げると、記憶が風化していく。戦争体験者の方々は80代後半になっている。堀江先生のような方は失礼ですが奇跡だと思っています。「ここで戦った」、「ここに野戦病院がある」、「ここに友人の遺体を埋めた」という情報が少なくなった今は収集ができません。
 もうひとつは現地の人とのコミュニケーションなんです。「畑仕事をしていたら(遺骨が)出てきた」と言うことがいまでもままある。ところが現地にネットワークづくりができていなかったらほったらかしにされてしまう。われわれが情報を吸い上げる努力をしなければならないのです。
 3つめは自然環境の壁です。日本国内では川があれば橋がある。ところが、日本軍の将兵たちが戦った場所は川に橋がないのがほぼ当たり前。ジャングルに一歩、入ってしまったら右も左も全く分からなくなる。一緒にいた人の姿が見えなくなったら、自分がどの方向か来たか分からないのです。スコールがあれば、川も決壊してしまう。あまりにも日本の環境と落差があるのです。
 あとは、お金です。現地の人々がお手伝いをしてくれる。われわれとしては労働の対価として支払う。現地では失業率が8割くらい。現金収入は魅力です。「何とか日本兵の遺骨が収集したいのだ」と訴えても、若い人たちは、対価がないと協力してくれません。

「必ず日本へ返す」という決意があればできる(野口)
 野口健 決意の問題があるでしょうね。「必ず日本へ帰す」という決意があれば、あらゆる手段をとるでしょう。昨年までは民間団体による遺骨収集が認められていなかったので、現場に入って調査した結果を持ち帰って厚労省へ行くしかありませんでした。ただね、厚労省の方に当事者意識を持てと言うのがそもそも無理ですよ。日本軍は厚生省が派遣したわけではない。そもそも60数年前の話ですし、厚労省には、どだい限界があるのです。
 フィリピンへ行き、灼熱地獄のジャングルを歩いて、洞穴に入ると、おびただしい数の遺骨が残されている。その現場を見ると、平坦だった知識が立体化します。そして現実を知ると「背負ってしまう」。そのとき初めて決意、気迫の問題になると思うのです。
 僕は最初、正直言って「これはなかなか進まないかな」と思っていました。ところがたった4年で、状況は大きく変わりました。これまで全世界で1年間で収集した総計の遺骨を遥かに上回る数をフィリピンだけで集めた。たった半年で4000体以上ですよ。
 厚労省も変わった。フィリピンに関しては、空援隊が驚異的な実績を上げたことで、彼らが心を開いたというよりも、「いいといわざるを得ない状況」をつくったのです。国会議員もほぼすべての党が一緒にやってくれています。やるなら徹底してやろうと思っています。

―その驚異的な実績を上げている方法とは?
 倉田 これまでは「日本側の情報」がベースでした。戦友や遺族、厚労省が、旧日本軍の作戦記録などをベースに遺骨収集を行う。でもその情報は60数年前の情報なのです。どんな国もそうですが、60数年間変わらなかったものがありますか? そんなものはどこの国に行ってもない。ましてや発展途上国といわれる国では、山や川の地形すら変わっている。昔のままの地図では行き着かないのです。
 現場へ行ってみれば、川がない。家がない。また、小学校の校庭ぐらいの広さをさして「このあたりです」という人がいる。そういうのは「情報」とは言わない。ただの「噂話」ですよ。
 われわれのやり方は「現地の人の情報」をもとにしています。その情報の集め方が大きく違う。フィリピンにおいて、われわれに情報提供してくれるのは現地のお年寄りやトレジャーハンター(宝探し)です。彼らは仕事がないと山へ入って宝探しをする。ハンターの存在を知って、「きっと遺骨を見ているはずだ」と思いました。さらにもう一つの情報源はゲリラです。フィリピンは山の中はほとんどがゲリラの支配地です。日本で言うゲリラとちょっと違い、どっちかというと山賊ですね。要するに、現金収入を得る術がない。そういう人がゲリラ化して縄張りをつくり、通行料をとって暮らしているわけです。
 だから実際に銃を向けられることもあるし、葉っぱ(麻薬)を吸っている人もいますから、あまり楽しいところでもない(苦笑)し、行きたいところではない。マラリア蚊も飛んでくる。キングコブラもいる。われわれの仕事は言わば、マラリア蚊とコブラとゲリラと良い関係になることなんですね(笑い)。
 現在は、フィリピン人スタッフ10人、コーディネーター150人が毎日、山に入って歩き回って情報収集をし、遺骨を持って帰っています。それを各地の集積所に集めている。「何でうち(空援隊)がやらなければいけないのか」と思いながらも、フィリピン各地に仮安置所を建設しました。
 厚労省からは、「(遺骨の)保管料がかからないので助かります」と言われましたが、本来、そんなことは、民間のNPOがすることでしょうかね?
タグ:遺骨収集
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